· 

紫陽花②。

 

花芽を付けない紫陽花が気になり始めてから、緑を眺め続けた1年。玄関先の咲かない紫陽花が咲いた。見事に咲いた。

2段階の剪定のススメを知った。1度目は花が咲き終わった頃。2度目は、秋の初め。寒くなる頃に花芽が成長することを知り、剪定をし過ぎていたことに気が付いた1年前。

剪定のススメを知ったのにもかかわらず、その方法をしないことにした。何もしないとどうなるのか。見たくなった。

春、ためていた力を押し出すように、枝は背を伸ばした。「みてみて」を娘たちに言い続けた日々。家族を巻き込み、紫陽花をこれほど見続けたことはない。たくさんの緑色の蕾たちが顔を見せ始め、私たちを喜ばせた。あまりの成長の早さに、昨日までの姿を思い出せないほどだった。みるみるうちに玄関は、青色の花でいっぱいになった。天地の恵みをいただいただけなのに、なんと美しいことか。

 花が咲き始めてからの成長が実にすごい。若い枝が、伸びて伸びて、さらに伸びる。大きく開いた花を支えるには、成長し過ぎた枝が長すぎる。自分の頭を支えきれなくなった美しい花たちは、重力に逆らえず、地面の力を借りることとなったのだ。

 そして、今日。ススメられたように、1度目の剪定をすることにした。緑色との生活は、また来年につづく。

 

            (「紫陽花②」 2018年6月26日 書き留めた文章より)